映画「夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者」
原作漫画とアニメをずっと追っている「夏目友人帳」の新作が公開されたので見てきました。
今回の作品は原作の短編エピソード二つから制作されたもので、前作の「劇場版 夏目友人帳 ~うつせみに結ぶ~」のような映画オリジナルエピソードではありません。
なので前作のようにどんなストーリーなのだろうかというドキドキ感は全くなくないものの、逆に失望することはまずないと安心して見に行くことができました。
感想
劇場版オリジナルストーリーでもなければ長編でもなく、上映時間はなんと51分。
ど派手なアクションシーンもなく、熱く激しく心を揺さぶるような内容でもない。
なんで映画って形で公開することにしたんだろう?というのが率直な疑問ですが、でもこれこそが夏目友人帳に求めていたものだ、って感じで個人的にはとても満足できました。
映画館にいつもと違う「特別」を求める人には物足りないかもしれませんが、大スクリーンと大音響で「いつもの」夏目友人帳を見たいという人にはお勧めです。
2本立てで1話目が「石起こし」。
「石起こし」という役目を負った小さな妖怪ミツミを夏目が手助けする、というお話ですが、終盤じんわりとミツミの決意に涙がこぼれ、いつものように素晴らしい音楽とともにその結末を見届けられてとてもよかったです。
ミツミは自分を小さくて醜いものって言っていたけど、声を相まってものすごく可愛く見えました。何よりも心意気が立派。
2話目は「怪しき来訪者」。
タイトル通りに怪しい来訪者が夏目の友人田沼のもとに毎日のようにやってくる。心配した夏目が田沼とともにその来訪者の目的を探ろうとする、というちょっとしたミステリー要素のあるお話し。
夏目友人帳で好きなのは人と人の、妖と妖、人と妖の距離感や互いを思いあう姿なのですが、ここでも田沼と夏目の友情、来訪者とその目的が明かされたときの何とも言ない切ない気持ち、妖同士の友情がとても繊細に描き出されていて見終わったあとの余韻が心地よかったです。
客席に全部で10人ほどしかいませんでしたが、全員灯りがつくまで退席しなかったのでみんな余韻に浸りたいよね、わかる、と勝手に共感していました。
アニメ7期待ってます!
ところで2018年に国立歴史民俗博物館で行われた「ニッポンおみやげ博物誌」で聖地巡礼の例で熊本の人吉が夏目友人帳の聖地として紹介されているのを見るまでモデルが熊本とは知りませんでした。前作の映画では熊本の銘菓陣太鼓も作中に登場していました。