霊場恐山(青森県むつ市)
霊場恐山 恐山菩提寺
恐山は下北半島の中央部に位置する火山の外輪山の総称です。比叡山、高野山とともに日本三大霊場といわれています。
外輪山の中のカルデラに宇曽利山湖があり、その北岸に恐山菩提寺があります。周辺は火山ガスの噴気現象が起こり、火山岩の荒涼な風景は地獄に、宇曽利山湖の白浜の砂は極楽に見立てられています。
総門

参道

本堂

釈迦如来像が安置されています。
塔婆堂

塔婆堂というのは初めて聞きました。隣に大きな塔婆がたくさん立ててありました。
山門

左右に金剛力士像、上部には五百羅漢像が安置されているそうです。
浴場
山門を入って参道の右側に薬師の湯、左側に 冷抜の湯、古滝の湯とありました。男女交代制のようでこの日は薬師の湯が男湯、他は女湯でした。宿坊の裏には花染の湯という混浴湯もあるそうです。



本当に湯に浸かるためだけといった造りでした。温泉内にはイオウ泉だから3〜10分で上がるように、眼に影響があるから顔は洗わないで、窓を開けて換気をしながら入ってといった注意書きがありました。
誰もいなかったのでせっかくなので足湯だけでも、と試しましたが感想は「濃い気がする」というものでした。
温泉濃度とでもいうのか、「濃い」感じがとても強く、足をしっかり拭いたあとも浸かった足の部分だけ驚きのポカポカ感がずっと続いていました。あとで調べたところ源泉100%の強酸性だそうです。注意書きがあった理由に納得です。
地獄殿

開山の慈覚大師円仁が自ら彫ったとされる地蔵菩薩が本尊として安置されています。
地蔵は、釈迦が没して以後、次の弥勒が現れるまでの五濁悪世無仏世界の衆生を救うよう仏にゆだねられた菩薩です。
仏なき末法の世の救い主としてあらゆる場所に身を変えて現れ、六道輪廻に苦しむ人々を救い、ことに地獄の救済こそ地蔵本願の特色だそうです。
まさにこの「地獄」にある恐山菩提寺の本尊にふさわしいと慈覚大師も思ったのでしょう。
奥の院 不動明王

太師堂

地獄

境内の大部分を占める「地獄」と呼ばれる場所は火山岩がゴロゴロと転がり、強烈な硫黄臭とともに噴気孔からは白い煙が吹き出ているのが見えます。
噴気孔の周りには黄色い硫黄が晶出していました。
宇曽利山湖(宇曽利湖)

一見青く透明度の高い美しい湖でしたが、強酸性のためか湖の底が見渡せるほど藻や生き物の姿がないと気づいてからはその美しさと静けさにちょっと恐ろしさを感じました。
しかし多くの魚類が生息できる酸性度を超えた環境ではあるものの、酸に強いウグイが生息しているそうです。
雑記
「恐山」にはなんとなく怖いイメージを抱いていましたが、実際に訪れてみると硫黄臭と噴気孔から吹き出す煙に荒々しい地球のエネルギーを感じました。
しかし同時に昔の人がここに地獄を見出したことも三大霊場として数えたことも理解できました。

場所 | 〒035-0021 青森県むつ市大字田名部字宇曽利山3-2 |
開山期間 | 毎年5月1日〜10月末日 |
開門時間 | 5〜9月 6:00〜18:00 10月 6:00〜17:00 |
入山料 | 500円 小・中学生200円 |
参考
速水侑 著. 観音・地蔵・不動, 吉川弘文館, 2018.5, (読みなおす日本史). 978-4-642-06762-1.