真脇遺跡公園(石川県鳳珠郡)
石川県鳳珠郡能登町の真脇遺跡に行ってきました。
真脇遺跡は北陸最大級の縄文時代遺跡で、縄文時代前期から晩期まで約4000年の長期にわたる集落遺跡として知られています。
平成1年(1984)に国指定史跡になりました。
平成3年(1991)には出土遺物のうち219点が国の重要文化財に指定されました。
現在は遺跡、博物館、体験村、温泉宿泊施設を含む一帯が真脇遺跡公園として整備されています。
まずは平成9年(1997)に開館した真脇遺跡縄文館へ。
真脇遺跡縄文館

開館時間 | 午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで) |
休館日 | 毎週月・火曜日(祝日の場合は翌日) |
料金 | 大人300円、小中高生160円 |
展示内容
入館料を払うとまず最初に受け付けの人が操作してくれるので真脇遺跡についての動画を見ます。
その後展示室へ。
展示は219点もの国指定重要文化財が中心になって展示されていて、土器や石器のほかに、真脇遺跡の特徴ともいえる大量に出土したイルカの骨の展示もありました。出土したイルカの第一頸椎をもとに頭数を数えると、なんと286頭分もあったそうです。
特に印象に残ったのは「お魚土器」と「鳥さん土器」でした。ネーミングはもちろん、土器のデザインが斬新で縄文人の美的センスに驚かされました。鳥さんは今にも通じる可愛らしさが、お魚は発想に驚きました。
気になる人はこちらへ→真脇縄文館出土品紹介ページ
国指定重要文化財は安全性を重視した展示を行っていたため、2024年の能登半島地震でも破損等を免れたそうです。しかし収蔵庫、収蔵品等の被害もあり、地震後は一時休館となっていましたが2024年5月1日から通常開館となったそうです。
環状木柱列

真脇遺跡のシンボルともいえる復元された「環状木柱列」は、クリの丸太を半分に割り円形に並べて立てられています。最初に見た時の印象はまるでストーンヘンジみたい、でした。こちらの環状木柱列も何のためのものかははっきり分かっておらず、おそらく祭祀の場所だったのではないか、とされているようです。
同様の環状木柱列はほかに石川県金沢市チカモリ遺跡、富山県朝日町境A遺跡など、石川県や富山県を中心に約20遺跡で見つかっているそうです。
3本の木柱列、板敷土壙墓


縄文時代中期(約4500年前)の整地した粘土層から4基の土壙墓が発掘されました。4基のうち3基の底には板が敷かれており、この形態の墓は全国でも例を見なかったので「板敷土壙墓」と名付けられました。
またこの土壙墓のすぐ南に3列の木柱が発見され、土壙墓の位置を示す、または居住区と聖域(土壙墓)を分ける意味があったとも考えられています。
復元縄文住居

能都町地域文化遺産活用事業の一環として、2015~2017年の3年計画で縄文時代の遺跡から出土した遺物を参考に「縄文時代の住まいを想像しみんなでつくる」という目的で制作されました。
2015年に真脇遺跡で2300年前頃(縄文時代晩期)の建築部材が発掘され、木と木を組み合わせるために削り出した突起「ほぞ」が見つかったので、今回の縄文小屋では「木組み工法」を柱とした設計になりました。
従来専門家の定説では木組み工法は鉄器の登場とともに弥生時代頃から使用され始めたと考えられていました。
石器で木材を調達したり、稲藁を使用せずに「カラムシ」「フジ」の繊維で作った縄を使用したりとおそらく日本一こだわって復元された縄文住居だと思います。製作には縄文大工としても有名な雨宮国広さんが参加されています。
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出版社:平凡社
出版年:2020
真脇遺跡の縄文住居復元に携わった雨宮国広さんの本です。石斧に魅せられた生きざまに驚きます。縄文住居復元に関するお話が詳しく語られていますが、他の章も面白いです。「第三章 三万年前の丸木舟で大航海」で描かれたプロジェクトは映画「スギメ」にもなりました。映画の感想はこちら。
縄文温泉の宿 真脇ポーレポーレ



縄文遺跡の丘に建つ宿泊施設。ポーレポーレはスワヒリ語で「ゆっくりと」を意味し、外観は竪穴住居をイメージしたデザインだそうです。縄文遺跡(を含む整備された公園)内に泊まれる機会などそうはないと思うので今回はこちらに宿泊しました。
宿泊客は受付で申し出れば真脇縄文遺跡館の入館券をもらえるそうです。館内には巨大お魚土器をはじめ真脇遺跡ならではな縄文土器、縄文焼きの展示もあり面白かったです。温泉もあり、食事もとても美味しかったです。