鑁阿寺(栃木県足利市)

足利氏発祥の地に建つゆかりの寺院

足利氏は源義家の子、義国が下野国足利荘(栃木県足利市)に移ったことから始まります。

義国の孫義兼が従弟である頼朝の挙兵に従い、更に代々北条氏と婚姻関係を結んだことで足利氏は鎌倉幕府内で北条氏に次ぐ高い家格を維持しました。

足利氏の隆盛と共に足利荘は保護され、鎌倉時代から室町時代にかけて多くの寺院が創建されました。

なかでも真言宗金剛山鑁阿寺は、足利氏と最もゆかりが深く義氏の時代には足利一門の氏寺とされました。

古文書も多く所蔵しており、「鑁阿寺文書」と呼ばれています。

太鼓橋と堀

太鼓橋と堀

もとは足利氏の邸宅でもあり、四方に張り巡らされた堀と土塁がその面影を伝えています。

山門

太鼓橋と山門

足利幕府十三代将軍足利義輝の再建。両側の仁王像は桃山時代の作。

本堂

本堂(大御堂) 国宝

建久7年(1196)に足利義兼が邸内に持仏堂として建立したのが始まりとされています。その後足利義氏が伽藍を整備し足利氏の氏寺としました。現在の本堂は正安元年(1299)足利貞氏によって再建されたものだそうです。

本尊は大日如来、脇本尊として護摩壇に薬師如来、左壇に聖観世音菩薩と聖天を祀っています。

平成25年(2003)国宝に指定されました。

不動堂

不動堂

一切経堂

一切経堂 国指定重要文化財

寺伝では足利義兼が妻の供養のため一切経を修する道場として創建したと伝わるそうですが、現存の経堂は応永7年(1407)に関東管領足利満兼により再建されたものだそうです。
堂内には八角の輪蔵があり、一切経二千巻余(黄檗版)を蔵しています。

また堂内には徳川家斉寄進再修の御霊屋から移動された足利将軍家15代の歴代坐像が安置されています。江戸時代の作で、台座上畳裏面には「大仏師朝運文政十丁亥」の墨書名があるそうです。

昭和59年国から重要文化財の指定を受けました。

普段は公開されていないそうですが、今回ちょうど公開期間だったので堂内を観覧し歴代将軍座像を見ることができました。

大銀杏

大銀杏

樹齢約650年、周囲約10m。天然記念物に指定されています。

多宝塔

多宝塔

創建は足利義兼と伝えられていますが、現在の建物は江戸時代の元禄5年(1692)徳川五代将軍綱吉の母、桂昌院が再建したものだそうです。
金剛界大日如来と勢至菩薩をお祀りしています。
普段は閉じられていますが、勢至菩薩は俗に二十三夜尊といい午年の守り本尊で、毎月23日の午後から夕方にかけて、お堂が開けられているそうです。また参拝者はお小遣いに不自由しないという言い伝えがある「お種銭」を頂けるそうです。

鐘楼

鐘楼 国指定重要文化財

建久7年(1196)足利義兼が本堂に次いで創建しました。鐘は江戸時代、元禄期の再鋳だそうです。明治40年(1908)国から重要文化財の指定を受けています。

史跡,鎌倉時代

Posted by sata04