九州国立博物館特別展「室町将軍 – 戦乱と美の足利十五代 -」

九州国立博物館で行われている特別展「室町将軍 – 戦乱と美の足利十五代 -」に行ってきました。

開催期間は 令和元年(2019年)7月13日(土)~ 9月1日(日)

九州国立博物館 入口

展示構成は全4章。

室町幕府・足利将軍15代のおよそ240年を通観するという、これまでにない規模のものでした。なぜ九州国立博物館でこれほどの規模の展示を行うのかというと、室町将軍が主導した東アジアとの交流と、これらの時代に生まれた文化が九州国立博物館の「日本文化の形成をアジア史的観点から捉える」という基本理念にとても適合していたからのようです。もちろん昨今の室町ブームの後押しもあったでしょう。

第一章 南北朝の動乱と足利尊氏

足利尊氏像、かつて尊氏とされた有名な騎馬武者像、尊氏の花押が据えられた扇(日月図軍扇)や佩用していたと伝わる太刀(笹丸)、尊氏自身が描いた地蔵菩薩像、直義が利生塔へと奉納した舎利容器とその仏舎利安置状、尊氏・直義・夢窓疎石3人の合筆で書写した経(宝積経要品)など、尊氏・直義ファンとしてはこの第一章だけでも見に行った価値があった、そういった展示でした。なかでも尊氏・直義・夢窓疎石の筆跡を直接見比べれるのは面白かったです。

他にも南北朝好きとしては後醍醐天皇像、夢窓疎石像、「元結の御教書」として知られている尊氏の御教書など見ごたえ抜群でした。

第二章 室町の栄華─義満・義持と唐物荘厳

第2章では日明貿易や勘合について、貿易で得たいわゆる唐物と呼ばれる陶器や絵画など、また室町時代の美の教科書とも言える君台観左右帳記とそれに基づいて再現された書院飾りなども展示されていました。

勘合体験コーナー

第三章 将軍権力のゆらぎと成熟する文化―義教・義政の時代

第3章では義教がさらに充実させた将軍家コレクション(御物)や、満済准后日記・建内記といった貴族の日記、能面や衣装などが展示されていました。

中でも一番印象に残ったのは木印「徳有鄰」。本来の木印「徳有鄰」は朝鮮や琉球との通行に際して将軍が外交文書に捺した印章ですが、この展示では対馬宗氏が偽造したものでした。宗氏がさかんに偽使を送っていたのも驚きですが、室町将軍が使用していた本物が失われたため、この偽造印によって本来の印章の姿を知れるというのも面白かったです。

また義政愛蔵の中国と日本を行ったり来たりした青磁茶碗 馬蝗絆はまさに大陸文化との積極的な交流のアイコンとも言うべき存在だと思いました。

第四章 戦国の将軍たち―流浪する将軍と室町幕府の終焉

第4章で特に印象に残ったのは土佐派絵画資料として伝わる足利義輝像。なんと顔にあばたがしっかり描いてあって、あばたが描かれている絵は初めて見たので驚きました。こちらは下絵で、完成品にはあばたは描かれていませんでした。

また上杉謙信所用と伝わる毛氈鞍覆も大きくてモフモフしていてインパクトがありました。

そして展示の最後は本展での目玉、等持院の歴代将軍像(5代義量と14代義栄を除く)13軀。写真撮影OKということで楽しみにしていました。見る人用、写真を撮る人用で動線が分かれていたのでストレスなく鑑賞、撮影ができました。

尊氏像
9代 義尚像

9代義尚像、顔が整ってるなあと思っていたら、九州国立博物館の公式サイトでもイケメン将軍として紹介されていました。木像でも容貌の良さが伝わるのは凄いと思いました。

九州国立博物館 歴代15代将軍ラップ

九州国立博物館のこういったチャレンジ精神好きです。

博物館,特別展

Posted by sata04