谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館(石川県金沢市)

谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館

金沢市名誉市民第一号である建築家・谷口吉郎を記念し、谷口吉郎の旧居跡地に建てられました。
設計は吉郎の長男で国際的に著名な建築家・谷口吉生が担当しました。

それぞれの作品はたくさんあるのですが、いくつかピックアップします。

谷口吉郎作品

  • 東宮御所 1960
  • 東京国立博物館 東洋館 1968
  • 東京国立近代美術館 1969
  • 東京會館 1971
  • 赤坂迎賓館別館 游心亭 1974 

谷口吉生作品

  • 資生堂アートハウス 1978
  • 東京都葛西臨海水族園 1989
  • 東京国立博物館 法隆寺宝物館 1999
  • ニューヨーク近代美術館 2004
  • アジア協会テキサスセンター 2012
入口
開館時間午前9時30分~午後5時(入場は午後4時30分まで)
休館日月曜日 ※月曜日が祝日の場合は、翌日が休館日
年末年始 ※12月29日~1月3日
※特別展開催のため休館する場合があります
入館料大人310円 、65歳以上210円 、小学生・小人(高校生以下)無料※
※特別展開催時は特別料金が適用される場合があります

常設展示 迎賓館赤坂離宮 和風別館「游心亭」の茶室と広間

 ここに常設展示されているのは、国の施設である迎賓館赤坂離宮の和風別館「游心亭」の広間と茶室を再現したものです。
迎賓館本館が洋式の施設であるのに対して、和風別館は純日本式の接遇によって、日本の「家」と「庭」が持つ美的特性を外国の賓客に紹介することを目的として、1974(昭和49)年、谷口吉郎氏の設計によって建てられました。
 日本の伝統的な建築は、木を素材とした柱と梁による開放的な軸組構造や、左右非対称の美を特徴とし、木材や土、紙などの材料自身の色彩、材質、感触などによる簡素で繊細な意匠を特徴としています。「游心亭」の主室である広間と茶室は、このような日本の伝統的な建築美と、優れた大工や左官などの職人の仕事を再現したものです。
 広間は一の間(47畳)と二の間(12畳)で構成されています。広間から広縁の上まで広がる天井は、平天井と斜め天井の組み合わせからなる独創的な設計であり、障子を開ければ、広間から広縁、そして外部の「水庭」の先までが一体となって展開する開放的なつくりです。一の間奥いっぱいに配された床と棚、縦長を強調した障子の桟の割り付け、細い垂木(屋根下地を支えるために架ける材)と天井の棹縁(天井板を支えるための細い材)との巧みな組み合わせなどは、洗練された「和」と現代的な意匠の融合を図ったものです。また広縁の奥には、同じような意匠による茶室があります。4畳半の畳席とそれを囲む椅子席からなる茶室で、海外からの賓客も腰掛けたまま点前を鑑賞できる設えになっています。
 このように「游心亭」は、伝統への深い理解と独創性が融合したもので、谷口吉郎氏の和風建築の中で最高傑作とされるものです。

説明パネルより

広間

47畳の一の間は、季節や機会にふさわしい美術品の設えによって、海外からの賓客をもてなすために、和の空間を象徴する床が配されています。一の間の中央にある18人掛けの大きな卓は飲食の接待用であり、後方の給仕口から料理が運ばれます。12畳の二の間は、ふすまを開けると歌舞音曲などの余興のための舞台となります。「水庭」まで伸びる一の間と二の間の上部にある傾斜天井は、外部の景色を室内まで取り込むための仕掛けです。

説明パネルより

水庭

茶室

中央にある小間四畳半の畳席と、その2辺に配された椅子席からなる谷口氏草案の茶室です。能舞台のように設えられた小間での点前を、周りの椅子席から干渉しながら、茶を楽しむことができます。天井には、平天上と傾斜天井を組み合わせた掛込み天井や、木板を安打網代天井などを組み合わせて配し、茶室の空間に変化を加えています。

説明パネルより

ミュージアムショップ

ミュージアムショップ

過去の企画展の図録や谷口吉郎・吉生の著作、作品のクリアファイルやポストカードなどのほか、吉生が手掛けた縁からかMoMA(ニューヨーク近代美術館)のグッズも販売していました。

雑記

おそらく私が初めて谷口吉生の作品を知ったのは葛西臨海水族園でした。初めて訪れた時、遠方からもきらめくガラスドームに目を奪われ、近づくとあふれる水と海とが融合するように見えてなんて素敵な場所に来たんだろう、という気持ちになりました。まだ目的の魚も見ていないというのに。

その後香川県立東山魁夷せとうち美術館、長野県立美術館東山魁夷館に行きましたが、どちらの建物も手掛けたのが谷口吉生だと知りました。どの建物も「水」を使ったなんともいえない美しさ、居心地の良さが印象的でした。このままぼんやり水面を眺めていたい、そう思わせる力がありました。

今回谷口吉生について知りたくてこの博物館に来たので、年譜以外ほぼないことが残念でしたが建築家の作品は現地で見ろ、ということなんだなと了解しました。確かに建物系の博物館は建物そのものがありますよね。そもそもこの建物自体が谷口吉生の作品なので、この建物があればそれ以上は蛇足なのかもしれません。

同じく谷口吉生が手掛けた金沢にある鈴木大拙館、今回はスケジュールの都合上行けませんでしたが、ものすごく評判がいいようなのでいずれ行きたいです。

博物館

Posted by sata04