神奈川県立歴史博物館 特別展「永福寺と鎌倉御家人」

神奈川県立歴史博物館 特別展 「源頼朝が愛した幻の大寺院 永福寺と鎌倉御家人ー荘厳される鎌倉幕府とそのひろがりー」に行ってきました。

神奈川県立歴史博物館

展示構成

鎌倉の二階堂にかつてあった永福寺(ようふくじ)。

室町期の火災で消失し、現在は国指定史跡永福寺跡として存在しています。

永福寺は源頼朝が建立し、鶴岡八幡宮、勝長寿院とならび重要な宗教装置として鎌倉幕府を支えました。この特別展では永福寺の全貌と軌跡を復元していきます。

序章 発掘された永福寺と鎌倉研究

赤星直忠氏、八幡義生氏の調査ノートなどの展示。

黎明期の鎌倉研究と永福寺の史跡保存運動のあらましのなどの紹介。

1章 京・平泉の浄土世界

鳥羽離宮金剛心院跡から出土した仏具や瓦など、柳之御所遺跡から出土した器や烏帽子などの展示。

長い年月によって烏帽子というより木の化石のようになっていて驚きました。

2章 永福寺の偉容と鎌倉幕府

永福寺跡から出土した仏具や建築金具、瓦などの展示。

奥州合戦の戦没者供養を謳われ建立された永福寺の偉容や存在意義について。

3章 象徴たる永福寺式瓦と鎌倉御家人

東国の寺や城跡などで出土した永福寺式の瓦、仏具、茶道具などの展示。

鎌倉時代の瓦は高価であり、相応の財力がないと使用できなかったために権力を象徴するステータスシンボルでもあったそうです。

永福寺で葺かれていた瓦は特徴的な文様から現在では永福寺式瓦と呼称されており、鎌倉御家人はもとより北は陸奥国、南は伊豆国まで多数発見されているそうです。

4章 東国霊場と鎌倉幕府の荘厳

仏像や雨乞い関係の記録などの展示。

武家政権として成立した鎌倉幕府は、自己の存在を”荘厳”し正当化させるために種々の仏教儀礼を整備したり幕府儀礼を高度化させていきました。

浄光明寺敷地絵図も展示してありましたが、以前浄光明寺に行ったときにお寺の方がこの絵図のコピーで色々と説明してくださったのを思い出しました。原本は想像以上に大きくて驚きました。

その時の記事はこちら→浄光明寺

5章 神さびた中世仮面と音楽文化

舞楽面や楽家系図、骨蔵器などの展示。

鎌倉幕府は仏教儀礼に必須の音楽を積極的に京都から受け入れ、永福寺、鶴岡八幡宮、勝長寿院は鎌倉の音楽文化の中心的役割を果たすようになりました。そこから東国に広がり、東国各地に中世仮面が遺されたそうです。

終章 武士本拠の景観と復元

獅子頭や能面、舞楽面、お経などの展示。

鎌倉幕府が作り上げた永福寺という浄土世界を体現する文化装置がいかに御家人たちに影響を与えてきたのか、神奈川県内の浄土世界を示す近年の研究成果の紹介。

雑感

ロビーには大河ドラマ「鎌倉殿の13人」の登場人物パネルもあり、もっと大河ドラマファン向けの展示にもできるだろうにまさかの「瓦」を中心とした展示。今までの研究成果で真っ向勝負!という感じが清々しかったです。意外……?なことに来館者は結構いました。

大河ドラマ人物パネル
開催期間2022年10月15日(土)〜12月4日(日)
休館日毎週月曜日
開館時間9時30分〜17時(入館は16時30分まで)
観覧料一般900円、20歳未満・学生600円、65歳以上200円、高校生100円

博物館,特別展

Posted by sata04