映画「引っ越し大名」
映画「引っ越し大名」を見てきました。
感想
書庫にこもって本ばかり読んでいる引きこもり侍、片桐春之介が突然『引っ越し奉行』に任命され、そこからこの『引っ越し』という一大プロジェクトに挑む!というお話でした。
まず登場人物がみんな印象的でした。
「かたつむり」とあだ名される本の虫の主人公、片桐春之介。
その幼馴染で武辺に偏った脳まで筋肉っぽい鷹村源右衛門。
前任の引っ越し奉行の娘で気が強く度胸のある於蘭。
やたら男色シーンの目立つ城主松平直矩(なおのり)。
無理難題ばかりいう家老衆。
濃ゆい面々が時にコミカル、時にシリアスにやり取りする様はとても面白かったです。
ストーリーもテンポよく進み、中だるみすることもなく、笑えるのに泣ける、さらには時代映画には欠かしたくないアクションシーンまでしっかり。鑑賞後とても満足した気分になれる作品でした。
もうとにかくいたるところで笑えるシーンがたくさんありました。そのたび映画館中に笑い声があふれて、ここは笑点の会場かな?といった雰囲気に。
城主 松平直矩が登場時からやたら小姓と絡むなあと思っていたら、国替えの理由がまさか柳沢吉保を袖にしたから、とかもう驚きました。そもそも大河ドラマや歴史をテーマにした映画でも、男色の逸話がある人でもそういった描写は避けられていた印象なので、本作でさらっと描いているのには驚きました。Wikipediaを見たら松平直矩は美少年好きだったとあり、なるほどなーとなりました。
そして主人公の上司にあたる大野の妾( 丘みどりさん)が登場して突然歌うシーンも映画館中の笑いを誘ったのですが、本作ヒロイン於蘭役の高畑充希さんの一人二役、もしくは貧困のために愛人業をしていたのかと混乱しました。背格好も顔立ちも歌声すら似ていて、クレジットで名前を見るまではっきりと別人とわからないまでした。キャスティングした人の好みのタイプなんでしょうか。正直あまりに似ていたので一目で違うとわかる人を起用してほしかったです。
思わず見分けがつかないのは私だけかと検索したら、お二人が似ているのは有名だったようでなんだか安心しました。
作中のエピソードに話を戻すと、リストラして農民となった人達を決して見捨てず、最後に再び家臣として召し抱えたことにとても感動しました。そして最後に彼らを迎え入れた殿の姿にも。及川光博さんの松平直矩はとてもはまり役だったと思います。
原作
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徳川家康の血を引く譜代大名でありながら、生涯に七度の国替えをさせられ、付いた渾名が「引っ越し大名」という不運の君主・松平直矩。 またもや幕府から国替えを命じられたものの、度重なる激務によって亡くなった「引っ越し奉行」の役目を継がされたのは、引きこもり侍と後ろ指を指される若輩者の片桐春之介だった。 「人無し・金無し・経験無し」の最悪の状況で、果たして姫路播磨から豊後日田への国替えは成功するのか? |