石川県立図書館(石川県金沢市)
石川県立図書館(百万石ビブリオバウム)
おしゃれな図書館として観光ガイドにも取り上げられる2022年に開館した石川県立図書館。せっかくなので行ってみました。図書を意味する「ビブリオ」と、木を意味する「バウム」を組み合わせた「百万石ビブリオバウム」という愛称があるそうです。
印象的だったのが円形のすり鉢状のデザインに沿って配置された木製の書架。そして点在するインテリアショップにあるようなデザイン性の高い閲覧用の椅子など。何より蔵書の多さはうらやましいの一言。展示ブースもあり、まるで博物館と図書館が合体したかのようでした。


そしてこの図書館の後に谷口吉郎・吉生記念 金沢建築館に行ったのですが、そちらではちょうど石川県立図書館と金沢美術工芸大学の建築的魅力を紹介するという内容の第10回企画展「知と美の新拠点・小立野-石川県立図書館と金沢美術工芸大学-」が行われていました。

こちらの企画展で学んだ石川県立図書館についてご紹介。
総合コンセプト「知の殿堂」ー知の玉手箱ー
図書館内部は「めぐること」をテーマとした建築。新しい知に出会う楽しさとめぐるという行動を空間化したもの。

1.中心的な核 グレートホール(大閲覧空間)-おどろきの空間-
グレートホール(大閲覧空間)を中心に「目次空間」としても機能する一体感のある空間を提案。館内を一望でき、本の目次のように図書館がどのようになっているかわかる。

2.利用者の多様な居場所 多層構造-スロープと階段による立体的な連続性-
地上三層と地下階からなり、一層目は「広場交流空間」、中間レベルは半円形の書架を中心に、最上階は開架書架に。地下は書庫と地域サービスの拠点機能に。完全に層で分けずに、スロープや階段で立体的な連続性を保っている。
3.「循環」、「回遊」する動線
「半円循環体」という空間構成で、最初にいた場所に戻ってくる「回遊」だけではなく、「回遊」しながら新しい発見や成長がなされるという「循環」をテーマにした動線計画。
4.多様な知的イノベーション体験空間
単なる読書、学習空間ではなく、観光や新たな生活スタイルを生むための交流、体験、情報収集が可能なイノベーションセンターとしての役割も担う。
5.未来をつくるこども・若者たちが集まり、情報を獲得し、そして交流する空間
次代を担う人たちにとって居心地がよく、想像力が刺激される空間を創出すると同時に、アナログ空間とデジタル空間の建築一体化を目指す。
6.誰もが利用しやすいユニバーサルデザイン、アクセシビリティの高い空間
グレートホールの段状の書架はスロープでつながり、車いすでもスムーズにアプローチできる書架。階層的でもユニバーサルデザインを徹底し、アクセシビリティの高い書架空間に。
雑記
上記のほかにも空気(図書館全体の空調計画・開架書庫の空調)・光(全体の光・書架照明・色温度)・音(4つの音環境エリアを設定)・家具・什器などについての詳細な説明が行われており、図書館というのはここまで考えて作られるのかと驚きました。この図書館が自分の居住圏にあったら嬉しいだろうな、と思いました。もしかしたらこの図書館に通うために引っ越す人もいるかもしれない、そんな図書館でした。


図書館オリジナルグッズの販売も行われていました。